【自分の時間を取り戻そう】これからの社会を生きるために大切なこと
「何事にも全力で取り組むこと」が美徳とされる今の日本では、多忙さのあまり本当に自分のやりたいことをできない人が溢れている。テレビでは育児と仕事のどちらもこなす母親が理想的であると取り上げられるし、残業をすることで仕事に達成感を覚えるサラリーマンも依然として多いという。
そのような人たちは本当に理想的なのだろうか?仕事に追われ、自分の時間を楽しむことができていない人たちが、果たして良い人生を送ることができるのだろうか?
日本で働く人たちの問題点やその解決策について述べているのが本書だ。
社会の流れ=「高生産性シフト」
「生産性」とは、「投入する資源」に対する「得られた成果」の比率のことを言う。同じだけの成果を得るために投入する資源が少なくなれば生産性が上がったということであり、同じだけの資源を投入してより多くの成果を得ることができればそれもまた生産性が上がったということである。
生産性=得られた成果/投入した資源
「高生産性シフト」とは、「社会全体が、生産性が高まる方法にどんどん動いていく」ということ。つまり、資源がより有効に活用されるようになっていくということだ。
AirbnbやUberはその代表例だ。知っての通り、Airbnbは空いている部屋や家を貸すことができるサービス、Uberは使っていない自動車を貸すことができるサービスである。これらは「個人所有の部屋や自動車」「その持ち主の時間」という資源をより有効に活用するためのサービスだ。
スマートフォンの登場により、これまで活用されることがなかった資源が活用されるようになった。この社会の流れはもはや変えることができない。つまり、今後の社会においては「生産性」という判断基準で物事を観ることが当たり前となっていくのだ。
生産性を上げるための考え方
仕事や生活の生産性を上げるために必要なことは、「インプット(=投入する資源)」と「アウトプット(=求める成果)」に対して敏感になることだ。
「インプットに敏感になる」とは、自分が持つ有限の資源をきちんと可視化するということ。ここでいう「資源」とは、お金や時間のことを指す。お金については家計簿などで管理することが多いが、時間を可視化してマネジメントすることは少ない。よく「もう年末なの?」と驚くことが多いが、これは私たちがいかに時間という資源に対して鈍感であるかを示している。
「アウトプットに対して敏感になる」とは、自分が本当に求めるものをきちんと理解するということ。言い換えれば、自分の幸せの基準(≒価値観)を明確にするということだ。例えば「自分の子どもや家族と幸せに暮らすこと」が自分の求めるアウトプットなのか、「自分の時間を楽しむこと」なのか、ただ1つの答えは存在しないため、自分が将来的にどんな結果を得たいのかを内省することが大切である。
生産性を上げる方法
生産性を上げるための方法には次のようなものがある。
- 1日の総労働時間を制限する
- 業務(プロジェクト)ごとの投入時間を決める
- 忙しくなる前に休暇の予定を立てる
- 余裕時間をたくさん確保しておく
- 仕事以外のこともスケジュール表に書き込む
- 「全てをやる必要はない」と自分に断言する
- まず「やめる」ことを考える
- 「最後まで力を入れて頑張るポイント」は厳選する
- 時間の家計簿をつける
「インプットをなるべく少なく、より大きな成果を出すためにはどうすれば良いか」と考えて行動することが大切である。
読んでみた感想
社会人として実際に働いてからもう一度読み返したい本。ただ目の前のことをこなすだけで決して楽しいとは言えない人生を送っている人がいかに多いかを知ることができた。これから社会人として働く人、働いていて仕事に追われて自分を見失っている人などにとってとても良い気づきを得られる本だと感じた。